近年、終活がメディアで度々取り上げられていることもあり、生前整理をする人が増えているようです。
そういった生前整理の際に気をつけたいのが様々なトラブルです。
生前整理をしなかった場合はもちろん、生前整理が上手くできていない場合も、トラブルが起きる原因になります。
死後、自身の生前整理が一因となり、親族間で揉めごとが起こるケースは決して珍しくありません。
自分にはトラブルになるほどの資産もないから大丈夫だろう……と考えている方は要注意です。
今回は、生前整理で起こりやすいトラブルとその対処法についてお話していきましょう。
生前整理とは
生前整理とは、死後に家族や親族に迷惑をかけないよう、早い段階で行う身辺整理のことです。
身の回りにある物品の整理だけでなく、不動産や株式といった資産も含まれます。
「相続争い」を起こさないためには、財産と相続先をはっきりさせておくことが有効です。
終活と呼ばれている行為の一環であり、トラブル防止のほかにも、自分の身の回りを改めて整理することで、今後の人生をより充実させることにもつながります。
生前整理のメリット
相続で起こるトラブルを減らせる
人の死後、最も多いのが相続に関するトラブルだと言われています。
生前整理の一番の目的こそが、この相続トラブルを回避することです。
相続というと預貯金のような動産や住んでいた家といった不動産をイメージしている方も多いようですが、自家用車や株式、ブランド品やジュエリーなど価値がある財産は全て含まれます。
また、借金や延滞金といったマイナスの事柄も財産に含まれるでしょう。
自分自身でも、財産のすべてを把握している人は多くありません。
生前整理をしておくことで、相続人や財産分配が明確化するため、相続に関わるトラブルを未然に防ぐことが可能です。
万が一の状況に備えられる
医療の発達もあって日本人の寿命は年々延びており、もはや長寿が当たり前の時代に突入しつつあります。
しかし、長く生きれば何らかの病で突然入院したり、施設に入居したりといったこともあるでしょう。
そのような万が一の状況のとき、生前整理が大いに役立ちます。
「延命処置はどうするか」「どのような施設に入居したいのか」など自分の意思を明確化しておくことで、自分の意思通りに過ごすことができるだけでなく、家族や親族への負担を減らすこともできるでしょう。
また、普段から整理整頓された空間で生活することにより、ストレスや転倒のリスクを減らすことにもつながります。
死後必要な遺品整理を楽にできる
自分がこの世を去ったあと、それまで住んでいた家の整理は家族や親族が行うことになります。
その際、物があふれかえっていると、片づける手間は大変なものになるでしょう。
親と独立した子が離れて暮らしているケースも多く、遠方からわざわざ駆け付けるのは大きな負担になります。
賃貸物件に住んでいる場合は契約の関係もあり、すぐに遺品を片付けなくてはいけません。
業者に依頼するとしても、状況によっては高額な費用が発生します。
生前整理をしておくことで、スムーズかつスピーディーな遺品整理が可能になり、遺族への負担を軽減できるでしょう。
- 価値ある財産は全て相続の対象になり、トラブルの元になることも
- 長寿が当たり前の現状では、万が一の状況に備えることも当たり前に
- 家族の遺品整理の手間も考えれば、ぜひ生前整理はやっておきたい
生前整理で起こりがちなトラブル1:相続
トラブルになりやすい事柄が、相続についてです。
金銭的な事柄であるためトラブルに直結しやすく、これまでとくに問題のなかった親族が、相続を機に憎しみ合うことになってしまった……という事例もあります。
実際の相続トラブルとその対処法についてお話していきましょう。
トラブル内容
「自分にはそれほどの資産がないから問題ない」と考えている方もいるでしょう。
しかし実際の相続トラブルを見てみると、裁判で争う相続額は5,000万円以下が70%です。
さらにその中でも1,000万円以下が31%も占めています。
相続を主張する人物で一人当たりの取り分を考えると、労力に見合わない金額で争っていることも珍しくありません。
相続に関して揉めごとが起こるケースは大金持ちに限った話ではないのです。
これはあくまで家庭裁判所に持ち込まれたトラブルの件数であるため、実際にはもっと多いことが想像できます。
揉めるほどの資産はないと思って何の準備もしていないと、自身の死後に大切な家族同士が争うことになってしまうかもしれません。
また、自身が家族と同居していた場合は、遺産分与のために大切な家屋を売らなくてはいけないケースも多々あります。
さらに近年では住居とは別に投資用不動産を購入し、副収入を得る動きも活発になっているため、今後ますます相続トラブルは増加していくかもしれません。
対処法
相続トラブルを回避するため、生前整理でしておくべき事柄は遺言書の作成です。
正式な遺言書があれば、多くの相続トラブルを避けることができるでしょう。
遺産となる事柄は具体的に以下の7つとなります。
- 1.土地
- 2.預貯金
- 3.株式
- 4.自動車やバイクをはじめとする有価証券
- 5.貴金属やブランド品
- 6.住宅ローン
- 7.生命保険
これらを生前整理では財産目録として正確に把握しておき、遺言書に記しておきましょう。
自分では理解しているつもりでも、全財産を把握するということは時間と労力がかかります。
大変な作業にはなるものの、自分の死後に親族が把握するとなるとそれ以上に苦労することになるでしょう。
また、財産を把握するために尽力した親族が、別の親族から財産を隠しているのではないかと疑われ、さらなるトラブルになる可能性もあります。
そういったトラブルを防ぐためにも、生前整理でまとめておくことをおすすめします。
- 相続問題はお金持ちじゃなくても起きやすい
- 不動産のトラブルは今後増えていくことが予想できる
- 財産目録として正確に把握、遺言書に記すことで相続トラブルは防げる
生前整理で起こりがちなトラブル2:不要品の処分と売却
生前整理では、身の回りを整えておくことが大切です。
どうしても長年同じ場所に住んでいたり、年を重ねていったりすると、住居の中が不用品で溢れているといったケースも珍しくありません。
実際にどのようなトラブルが考えられ、生前整理ではどのような方法で対処していけば良いのかをご紹介します。
トラブル内容
一般的な傾向として高齢になればなるほど、物を捨てられないようになるといわれています。
また、年齢を重ねると体力が低下するため、不用品を処分するのも億劫に感じてしまうかもしれません。
そして年を重ねたタイミングで、配偶者の死去や施設への入居といった状況になり、初めて生前整理をする方もいるようです。
しかし、高齢になってから生前整理を始めると、思わぬ怪我に繋がる可能性があります。
高齢者になると筋力や視力の低下により、転倒しやすくなるでしょう。
重いものを持ち上げようとしてバランスを崩して転倒し、骨折してしまうことも珍しくないのです。
高齢者の場合、転倒した二人に一人が骨折するというデータもあります。
骨折から筋肉がますます低下し、最悪の場合寝たきりになってしまうことも考えられるでしょう。
不用品をそのまま放置しておくというのは、自分の死後に相続する人が大変だということ以外にも、自身の今後にも関わってくるかもしれません。
対処法
不用品の生前整理は、できるだけ元気なうちにしておくことが大切です。
少しずつで構わないので、使っていないものは処分していきましょう。
身近に欲しいという人がいれば、思い切ってあげてしまうのも良いかもしれません。
一般ごみとして収集してもらうのが難しい物品や、そのまま捨ててしまうことに抵抗がある物品は、リサイクルショップに持ち込むのもおすすめです。
粗大ごみで出そうとしていた物品も、実は高値で売却できるかもしれません。
ブランド品や骨董品の場合、買取専門の業者に査定を出せば、思いがけない買取価格になる場合があります。
品物によっては、不用品を処分する費用を賄えるほどになる場合もあるので、捨てる前に買取を検討しても良いかもしれません。
MARUKA(マルカ)でも、生前整理目的での不用品買取を行っております。
ボロボロの腕時計や付属品の見つからないアクセサリーなどでも買取させていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください。
スマートフォンをお持ちなら、LINE査定で最短30秒で査定額をご説明させていただくことも可能です。
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- 元気なうちに始めることが安全で確実
- ブランド品や骨董品は事前に買取専門店で買取してもらいましょう
生前整理で起こりがちなトラブル3:業者とのトラブル
以前から遺品整理の代行を行う業者はありましたが、最近では生前整理もフォローしてくれる業者が増えているようです。
しかし、生前整理を請け負う業者の一部には、悪質な業者も存在しており、トラブルに発展する可能性もあるでしょう。
実際に生前整理を巡って起こる業者間のトラブルの事例や、信頼できる業者選びについてお話します。
トラブル内容
生前整理を依頼する業者とのトラブルでよくあるのが、事前に話していたよりも高額の料金を取られたというものです。
当日の作業終了後に勝手にオプションや理由をつけ、想定していた見積よりも高い金額を請求されるトラブルが発生しています。
また、業者がすべて対応してくれるからといって、丸投げするのは非常に危険です。
悪質な業者では、作業中に貴重品を盗まれたという被害もあります。
そのほかにも作業中に出てきた売却予定のない貴金属やブランド品を、相場より安値で強引に買取されてしまったというトラブルもあるようです。
また、自分はとっておきたいと思っていたものをゴミと勘違いされ、いつのまにか捨てられていたというトラブルもあるでしょう。
そして通帳や印鑑といった貴重品がどこかにしまい込まれてしまい、紛失するといったトラブルも発生しています。
生前整理の業者に依頼すれば、全てが上手くいくというわけではないため、注意が必要です。
対処法
トラブルを避けるために最も大切なのは、生前整理を依頼する業者選びです。
見積もりに関しては、必ず相見積もりを取るようにしてください。
そうすることで、他社よりも高額な料金を支払うといったトラブルには発展しにくくなるでしょう。
また、提示された見積もりは、当日追加料金が発生しないのか確認することも大切です。
そして印鑑や通帳、貴金属といった貴重品は業者に任せるのではなく、自分自身で管理をしてください。
同時にどうしても処分されたくない大切な物品も、自分で別途管理をしておきましょう。
そして優良な業者選びのポイントとなるのは、家庭形(生活系)一般廃棄物収集運搬許可を得ているかどうかといった点もあげられます。
自治体から許可を得て経営しているということになるため、安心材料の一つになるでしょう。
見積もり金額が曖昧であったり、強引に買取や処分しようと誘ってきたりする業者は要注意です。
- 業者に依頼するのがおすすめだが、注意が必要
- 悪徳業者の場合、様々なトラブルが起きてしまうことも
- 信頼できる業者に依頼し、貴重品の管理は自ら行いましょう
生前整理で起こりがちなトラブル4:デジタル遺品
近年、遺品の中でもトラブルが多くなっているのが、「デジタル遺品」と呼ばれるものです。
不要なトラブルを避けるためにも、生前整理でしっかりと管理しておきましょう。
実際にデジタル遺品となるものはどのようなもので、実際に起こるトラブルとは何なのか、その対処法も詳しくお話していきます。
トラブル内容
デジタル遺品とは、スマートフォンといった端末やパソコンなどインターネット利用で管理されていたデータのことです。
例えばLINEやメールのやりとり、スマホのカメラで撮影した写真や動画も、自身の死後には遺品の一つになります。
また、クラウドストレージ内のデータも遺品になるでしょう。
そして、SNSやブログも既存の投稿内容はデジタル遺品の一つになります。
意外なところでは、インターネットショッピング用に作った個人アカウントや動画配信サービスのコンテンツのアカウントもデジタル遺品です。
デジタル遺品で最も注意しなくてはいけないのが、電子管理する金融資産です。
預金を管理しているインターネット銀行の口座や、投資目的で使用していたネット口座が該当します。
投資目的で使用していると税金が発生することもあり、死後に親族あてに支払い義務が生じるトラブルは珍しくありません。
また、キャッシュレス決済をしていた場合、残高が残っているケースも多々あります。
電子マネーだけでなく、交通系ICカードにチャージしていた分もデジタル遺品です。
価値のあるデジタル遺品の場合、その存在に気付いた者が横領し、親族間のトラブルに発展することも考えられます。
対処法
デジタル遺品の問題点として、とにかくその実態を本人以外把握しにくい点が挙げられます。
例えば何らかのサービスに登録をしていて解除しようとしても、スマートフォンやタブレットの端末ロックに阻まれて、中のデータにアクセスできないケースがあるでしょう。
デジタル遺品となり得るものは、その存在と解約方法や問い合わせ先をまとめておくことが大切です。
また、最もトラブルになりやすい金融資産については、その存在と問い合わせ先をわかりやすく整理しておきましょう。
スマートフォンやパソコンそのものの取り扱いについても、どうするのか決めておく必要があります。
長期間インターネットやデータにアクセスしない状況では、正常なアップデートが行われません。
サイバー攻撃に遭いやすくなり、残っていた個人情報が流出する恐れがあるためです。
- スマホで撮影した写真やネット銀行の口座はデジタル遺品と呼ばれている
- 死後に何らかの料金が継続して発生したり、ログインできなかったりするケースは多い
- 解約方法やパスワードなどはきちんとまとめておきましょう
生前整理でトラブルを防ぐポイント
生前整理で死後のトラブルを防ごうと思ったならば、特に自分の意思を反映させることが大切です。
確実に反映させるためには、「公正証書遺言」を書いておくことが鍵になります。
エンディングノートを細かに記しておくことは非常に良い方法ではあるものの、基本的に法的効力はありません。
また、自分でも法的効力を持った遺言書は作成可能ですが、条件を満たしていなければ無効となります。
予測できるトラブルや不測の事態に備えたいのであれば、公的な遺言書を遺しておくのが確実です。
また、公正証書遺言を作成するにあたっては、弁護士や行政書士といった専門家の手を借りることになります。
そうすることで自分一人では気付けなかった相続の問題点や、解決が難しいと思っていたトラブルも解消できるかもしれません。
トラブルと対処法を知れば生前整理はスムーズに行なえます
生前整理は、まず遺産相続でトラブルになるポイントを知ることから始めましょう。
事例と対処法さえ把握すれば、生前整理で自分が何をしておくべきなのかが自然と見えてくるはずです。
そして、生前整理は想像しているよりも、時間も手間もかかることになります。
できるだけ時間に余裕を見て、動けるうちに大変なところから手をつけておきましょう。
まだ自分には生前整理は早いと思わず、年を重ねれば重ねるほど、思うように動けなくなることを想定しておくことが大切です。
MARUKA(マルカ)では、不用品買取のほか、生前整理のサポートも行っております。
築地本願寺主催のフェアにもセミナー講師として参加しており、買取専門店の視点ならではの失敗しない生前整理のアドバイスを行わせていただきます。
エンディングノートの印刷やトラブル対処など、生前整理でのお困りごとがあれば、ぜひ以下のリンクをご覧になってください。