実物資産である金は、日によって価値が変動するため、購入時よりも高い金額で買い取ってもらえることも少なくありません。
そのため、自宅にある金製品の売却を検討中の方もいるのではないでしょうか?
しかし、ここで気になってくるのが金製品を売却することで得た利益に対する税金の有無です。
金製品を売却した際の利益は課税対象なのでしょうか?
今回は、金の売却と税金の関係性をはじめ、税金の計算方法、金の売却に関する所得区分、売却損の控除などについてご紹介します。
売却目的によって納める額は変わるので、金の売却を検討されている方は、ぜひこの記事を通して知識を深めてみてください。
非課税じゃない!金の売却と税金の関係性
金を売却する際「税金がかかるのでは?」と疑問を抱える方は少なくありません。
結論から申し上げますと、金の売却で発生した利益には税金がかかることがあります。
なぜなら、金は土地や建物と同じ実物資産だからです。
売却することで発生したお金は、資産の譲渡によって得た「譲渡所得」として処理されます。
しかし、譲渡所得の全額が課税対象になるわけではありません。
課税対象は、金の購入と売却にかかった費用から50万円の特別控除を差し引いた額です。
つまり、売却したときに得られる利益の差額が50万円以下の場合、課税対象にはなりません。
140-100で差額は40万円となります。
この場合、50万円以下なので非課税となります。
税金の計算方法
金を売却したことで得た利益にかかる税金は、金を所有していた期間と所得区分によって変わります。
ここでは「譲渡所得」の課税対象額を算出する方法をご紹介します。
税金の計算をはじめる前に、まずは「譲渡益」の計算をしておきましょう。
譲渡益は金の売却によって得た利益を表し、計算方法は以下のようになります。
売却金額-(取得価格+売却費用)=譲渡益
「取得価格」=金を購入した際の金額
「売却費用」=金を売却する際に発生する手数料や必要書類の代金など
この2つを売却金額から差し引いた額が譲渡益となります。
ほかにも、金の所有期間によって計算方法は少し変わります。
金の所有期間が5年以内の場合は「短期譲渡所得」という扱いになり、計算方法は以下のようになります。
(金の譲渡益+その他の譲渡益)- 特別控除50万円=課税対象の所得
「金の譲渡益」には先ほどご紹介した計算式で算出した額を入れましょう。
「その他の譲渡益」は株式や不動産の売却によって得た利益が含まれますので、しっかり確認することが大切です。
金の所有期間が5年を越す場合は「長期譲渡所得」という扱いになります。
計算方法は短期譲渡所得と同じですが、課税の対象となる金額は半分になります。
{(金の譲渡益+その他の譲渡益)- 特別控除50万円}÷2=課税対象の所得
なお、これらの計算方法は、金地金やプラチナ地金を売却したときに使用するものです。
金が含まれるジュエリーを売却した場合は、課税対象の金額が変わりますのでご注意ください。
また、金が含まれるジュエリーは「生活用動産の売却」による所得として扱われます。
この場合は、1回の取引が30万円以内であれば非課税となります。
長期と短期、どちらもある場合
そのような場合では、短期譲渡所得から優先して特別控除の50万円を引きます。
控除額が余っているケースでは、さらに差し引くことも可能です。
(金の譲渡益+その他の譲渡益)- 特別控除50万(短期譲渡所得を優先)=課税対象の所得
金の売却に関する所得区分
金を売却することで得た利益は基本的に譲渡所得として扱われますが、場合によっては「雑所得」または「事業所得」として扱われることもあります。
雑所得=営利を目的とし継続的に売却して得た所得のこと。
事業所得=事業として売却したことで得た所得のこと。
金を売却して得た利益で生活をしている場合=事業扱いのため、事業所得
金売却に備えて押さえておくべき3つのポイント
金売却で損をしないためには、3つのポイントを押さえておくだけでリスクが大幅に下がります。
ここでは、その押さえるべき3つのポイントをご説明します。
計算表を紛失しないよう保存する
金の購入時には計算表を渡されますが、大切に保管しておくことが大切です。
計算書を紛失してしまうと、売却額の95%が利益とみなされ、課税対象になってしまうからです。
例えば、計算書があるケースで200万円で購入した金を、300万円で売却したとしましょう。
その際の売却益は100万円ですが、計算書を紛失したパターンでは、300万円の95%である285万円が課税されてしまうのです。
このように計算書の有無によって、発生する税金は大きく変わります。
書類はきちんと保管場所を定めておくか、電子形式で保管しておくことをおすすめします。
税理士に相談するのも選択肢の一つ
金を売却した際、想像以上の譲渡益が高くなる方もいるかもしれません。
それに伴い、実際の税金額や税務上どの種類に分類されるかなど、さまざまな疑問が生じるでしょう。
加えて、確定申告の手続きや書類準備も必要になります。
このように、金売却では場合によっては書類作業も多く煩雑になるので、書類作業で多く時間を取られる場合もあります。
税金面で分からないことが多いようなら、無理せずに税理士に相談することをオススメします。
多少の手数料は発生しますが、それを補って余りあるメリットがあるのがプロの相談です。
計算の手間や計算ミスもなくせますし、節税によってより多くの利益が得られる可能性もあります。
税金関連のニュースと金相場はきちんとチェックする
金の価格や消費税の上がるタイミングを見極めることで、上昇した消費税分の費用が利益となる場合もあります。
金の売買には消費税がかかります。
しかし、金の売却時には買取業者が負担することになるため、個人に消費税の納税義務は発生しません。
消費税が低いときに金を購入し、高くなれば売却すると、増税した分利益が得られる可能性があります。
また、金相場のチェックも忘れずに行いましょう。
金は相場によってレートが変動するものです。
金相場は消費税増税以上に変動の間隔が短いため、こまめなチェックが必要になります。
これら2つを定期的に行うことで、金売却時の高価買取は狙いやすくなります。
MARUKAではLINE査定によるスピード査定を実施しています。
また、MARUKAでは金のレートではなく金の買取金額表を掲載しているため、より手持ちの金の買取価格がわかりやすくなっています。
ぜひご利用くださいませ。
- 金購入時の計算表はきちんと保管を
- 税理士に相談すれば節税対策が行いやすくなる
- 消費税や金相場のニュースはこまめにチェックを
売却損が発生!所得区分別の控除内容とは
金を売却するにあたり、必ずしも利益を得られるわけではありません。
場合によっては、売却損が発生することもあります。
しかし、万が一売却損が出たとしても、損失分を控除することは可能です。
控除内容は所得区分によって異なりますので、以下で詳しい条件をご紹介します。
譲渡所得
金を売却するほとんどの方が、譲渡所得に区分されます。
譲渡所得の場合は、同年の1月〜12月間で発生したその他の譲渡所得から控除できます。
しかし、譲渡所得以外の所得からは差し引きできませんのでご注意ください。
雑所得
雑所得の損失は、同年の1月〜12月間で発生したその他の雑所得から控除できます。
雑所得も譲渡所得と同じく、他の所得から差し引きできません。
なお、2,000万円以下の給与収入を得ており、かつ雑所得の合計が20万円以下の方は、確定申告が不要です。
事業所得
事業所得の場合は、先ほどご紹介した2つの所得区分と違って他の所得との差し引きが可能です。
また、控除後も損失が残る場合は「青色確定申告」を行うことで、以降3年間は所得金額から繰越で控除ができたり前年への繰り戻し還付を受けたりできます。
- 売却損が出たとしても、損失分を控除することは可能
- 雑所得、譲渡所得は同年の1月〜12月間で発生したその他の所得から控除可能
- 事業所得は青色確定申告で控除可能
免税・減税措置はあるのか
金を売却したら「必ずしも税金が発生する」というわけではありません。
年間給与額が2,000万円以下で、金の売却額が20万円以下だった場合確定申告はしなくても大丈夫です。
そのため、条件に当てはまる場合は税金が発生しないのです。
このように、金の売却には減税措置がとられているのである程度納税額は減らすことが可能です。
納税額を少しでも減らそうと、金をあしらった仏具を購入する方も少なくないでしょう。
たしかに、仏具は「祭祀財産」に該当するので課税対象にはなりません。
しかし、金をたくさんあしらった高価な仏具だったり、亡くなる前に複数購入したりした場合は「税金対策」と思われ課税対象になることがあります。
したがって、「手厚い免税・減税措置がないから」といって金をあしらった高額な仏具を購入するのは危険です。
また、仮に仏具を相続した場合は、相続税申告が終了したあとすぐに売却しないように注意しましょう。
この場合も税金対策と判断され、課税対象になってしまう可能性があります。
- 金の売却には減税措置がとられている
- 仏具は「祭祀財産」に該当するので課税対象にはなりません
- しかし、相続税申告が終わってすぐに売却すると課税対象になる可能性があります
金が使われたジュエリーを売る場合
そのため、金が使われているからといって課税対象になるとは限らないのです。
ただし、金が使われたジュエリーでも「売却額が30万円以上」になった場合は資産と見なされるので、課税対象になります。
この課税対象になるのは、ジュエリー1点あたりの売却額です。
たとえば、金が使われたジュエリーを3点売却した場合、3つで30万円になったからといって課税対象にはならないのです。
1点あたり30万円以上になったら課税対象ということなので注意しましょう。
このほか、「売却額」という点にも注意しなければなりません。
仮にジュエリーの購入額が50万円、売却して得た金額が70万円だったとします。
この場合、売却したことで得た利益は20万円になります。
しかし、金が使われたジュエリーの場合は「売却額」なので、買取価格が70万円であればその金額が課税対象になるのです。
つまり、この例の場合は売却額が30万円を超えているので税金を納めなければなりません。
「売却で得た利益は30万円以下で大丈夫」と認識を誤ってしまうと申告漏れになる恐れがあるので、十分に注意しましょう。
- 金が使われたジュエリーは、売却額が30万円以上の場合は資産と見なされる
- 課税対象になるのは一点の売却額が30面円以上の場合
- 金が使われたジュエリーの場合は買取価格が70万円であればその金額が課税対象に
あわせて押さえておこう!相続したときの税金について
ただし、相続の場合は「金単体で税金が発生する」というわけではありません。
遺産すべてに対して相続税が発生するので、「金の相続にはいくらの税金がかかる」とは一概には言えないのです。
まず、相続税には“基礎控除額”があります。
この基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で金額を算出し、遺産総額がその金額を超えた場合に相続税が発生する仕組みです。
=5,400万円が基礎控除額に
つまり、この場合なら遺産総額が5,400万円以上であれば課税対象になるのです。
このほか、知っておきたいことに「正味の相続財産」もあります。
相続するのは、何も金や不動産といったプラスの財産だけではありません。
故人が借金を抱えていた場合は、プラスの財産とともにマイナスの財産も引き継ぎます。
このマイナスの財産に相続税はかからないので、正味の相続財産を算出する必要があるのです。
仮にプラスの財産が6,000万円、借金が2,000万円だった場合は「6,000万円-2,000万円=4,000万円」となります。
法定相続人が4人だった場合は、5,400万円以上だと相続税が発生しますが、このケースの場合は4,000万円なので相続性は発生しません。
このように、金の相続には相続税が発生するのでポイントを押さえておくようにしましょう。
- 金の相続には相続税が発生する
- 基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」
- マイナスの財産に相続税はかからない
金を売却して1円でも多く手元にお金を残すためのポイント
そこで、以下では少しでも多くのお金を手元に残すためのポイントをご紹介します。
インゴットなら小分けにして売却する
1kgのインゴットの場合、その日の金相場によって買取価格は変動しますが、重さがあるので1回の売却で200万円以上を超える可能性があります。
1回の取引における買取価格が200万円を超えた場合は支払い調書の提出が必要です。
支払い調書を提出した場合は、現在の所得に金を売却したときの所得が加算されます。
つまり、支払わなければならない税金が一気に増えてしまうのです。
しかし、インゴットを小分けにして売却すれば1回の取引における買取価格を200万円以下にできます。
これにより、支払い調書の提出が不要になるのです。
加えて、譲渡所得には年間で特別控除50万円があるので、この金額を超えない場合は課税の対象にはなりません。
ただし、切断加工することによってインゴットとしての価値はなくなるので、その点は念頭に置いておくようにしましょう。
支払調書制度については、こちらで詳しくご紹介しております。
金を5年以上保有してから売却する
繰り返しになりますが、金を売却するときは「金を保有して5年以内」「5年以上」のどちらかによって計算方法は異なります。
金を5年以上所有してから売却する場合は、課税額が半分減額されます。
つまり、金を保有してから5年以内で売却するよりも、5年以上経過してから売却したほうが手元に残るお金は多くなるということ。
したがって、1円でも多く手元にお金を残したい場合は5年以上経ってから売却するとよいでしょう。
ただし、この場合は注意点もあります。
それは、「金相場・為替相場は変動している」ということです。
“安定資産”と言われる金は、需要と供給バランスと為替相場によってある程度一定を保っています。
しかし、供給量が増えて需要が少なくなったり、為替相場で円の価値が上がりドルの価値が大きく下がったりした場合は、金の買取金額が大幅に少なくなってしまいます。
そのため、金の高額買取が望めなくなってしまう可能性があります。
金相場が急に下落することはあまりないとはいえ、「絶対に価値が下がらない」とは言い切れません。
金を所有して5年経過する間に価値が下がってしまう恐れもあるので、その点に注意したうえで売却するようにしましょう。
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- 金はインゴットにして小分けで売却すると取引額の操作がしやすい
- 5年以上保持してから売却することで課税額は減らせる
- 金相場は変動するため、高いタイミングを見つけるべし
金の買取ならMARUKA(マルカ)がおすすめ
金の売却によって大きな利益を得た場合は、税金を納める必要があります。
しかしその額は、金を所有していた期間と所得区分によって異なります。
そのため、金製品を売却する際はどの程度の税金を納める必要があるのか、あらかじめ自分なりに確認しておくとよいかもしれません。
また、確定申告は少々手間のかかる作業ではありますが、正しく行うことで追徴課税などのトラブルを未然に防げます。
そのため、金製品を売却した際は忘れずに行うようにしましょう。
近年稀に見る高値で取引されている金。
しかし、今の価値がいつまでも維持するとは限りません。
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