鮮やかな緑色が美しいエメラルド。
そんなエメラルドには天然・合成・イミテーションがあるのをご存知でしょうか?
天然は当然のことながら価格は高くなりますが、合成やイミテーションはリーズナブルな価格で購入することが可能です。
しかし、合成やイミテーションでも天然と偽り市場に出回っている可能性もあるので、見分け方を押さえておくようにしましょう。
そこで今回はエメラルドの歴史をはじめ、特徴や産地、見分け方などについてご紹介します。
エメラルドの語源・歴史
エメラルドの語源は、サンスクリット語で“緑色の宝石”を意味する「スマラカタ(smaragdos)」から始まりギリシャ語では「smaragdos(スマラグドス)」と呼ばれるなどさまざまな言語が混じり合って現在の「エメラルド(emerald)」になったと言われています。
エメラルドの採掘がおこなわれたのは紀元前2000年頃で、最古の採掘場所と言われているのがエジプトです。
紀元前30年頃には、絶世の美女として知られているクレオパトラが数ある宝石の中でエメラルドをもっとも愛したとの説があります。
クレオパトラは、ジュエリーとしてエメラルドを身に着けていただけでなく、粉末にして化粧品にしていたようです。
さらに、エメラルドを愛してやまないクレオパトラは鉱山を「クレオパトラ鉱山」と名付けています。
緑色の美しい輝きを放つエメラルドは、エジプト以外にもローマやギリシャでも特別な石とされていました。
エメラルドは占星術で「ヴィーナスに捧げる宝石」として扱われ、ほかの地域では「未来を予知・予言する力がある」と信じられていたようです。
そんなエメラルドが世界中に広まる大きなきっかけとなったのには、アメリカ大陸の発見があります。
インカ帝国では、エメラルドを神殿の装飾や装身具に使用していましたが、スペインに支配され、採掘されたエメラルドはそこから世に流通したとされています。
エメラルドの特徴
エメラルドの特徴は、何といっても美しい鮮やかな緑色です。
「ベリル」と呼ばれる鉱山の一種で、本来は無色透明のものになります。
しかし、長い期間マグマや熱水流にさらされるほか、高い圧力がかかることによって変成し、別の元素が含まれます。
これにより、色が変わって鮮やかな緑色をつくりだすのです。
ただし、元素の含有量によっては緑色だけでなく、ピンクや水色にも変わります。
ピンク色になったベリルを「モルガナイト」、水色は「アクアマリン」と別の宝石になります。
このほか、エメラルドの特徴にはインクルージョンと呼ばれる内包物が多く含まれていることも挙げられます。
エメラルドに限らず、ほかの宝石も自然に生成されるものなので、インクルージョンが含まれていることは珍しくありません。
しかし、エメラルドはこのインクルージョンがほかの宝石に比べて多く、割れたり欠けたりする欠点があるのです。
とはいえ、このような弱点をカバーするためにエメラルドには「エンハンスメント」が施されます。
エンハンスメントとは、オイルや樹脂にエメラルドを浸し、傷の亀裂を隠す処理のことです。
これによって耐久性が増し、簡単には割れたり欠けたりしないようになっております。
インクルージョンが少ないほうが価値の高い宝石もありますが、エメラルドの場合はインクルージョンがあることによって価値が高まる宝石です。
産地別のエメラルドの特徴
エメラルドは産地によって特徴が異なります。
ここでは以下の産地のエメラルドの特徴について紹介していきます。
- コロンビア産
- ブラジル産
- ザンビア産
- ロシア産
- パキスタン産
- ジンバブエ産
- エジプト産
コロンビア産
コロンビアは、エメラルドの主要産地であり、その品質は非常に高いとされています。
先住民のインディオが採掘していたエメラルドは、スペイン人が1537年にチボール鉱山を開いたことで本格的な採掘が始まりました。
コロンビア産の原石は、表面に色が多く溜まっており、クロムが多く鉄が少ないため、鮮やかなグリーンを呈するものが多いです。
300以上の鉱山が存在し、それぞれ色合いや特徴が異なります。
例えば、ムゾー鉱山は品質が高く、濃いグリーンのエメラルドで知られています。この産地のエメラルドは、高いブランド価値が認められ、販売されることもあります。
一方、チボール鉱山産のエメラルドは、青みがかったグリーンで、透明度が高く、インクルージョンが少ない特徴があります。また、コスケス鉱山のエメラルドは、より淡いグリーンが特徴です。
コロンビア産のエメラルドには、結晶成長の痕跡である油滴のような模様が見られることもあります。
これらの特徴は、「ゴタ・デ・アセイテ」と呼ばれ、コロンビア産の最高品質のエメラルドにのみ見られると言われています。
ブラジル産
ブラジルでは1960年代にエメラルド鉱山が相次いで発見され、以来、エメラルドの安定した発掘が続いています。
最初に挙げられるのは、バイーア州のカルナイーバ鉱山です。ここはエメラルドブームの先駆けとなり、透明度が低く青みがかったエメラルドが見つかりました。
しかし、近年の産出量は大幅に減少しています。
次に、ゴイアス州のサンタ・テレジーニャ・デ・ゴイアス地域では、透明度が高く小粒のエメラルドが主に産出されます。また、エメラルドキャッツアイやスターエメラルドも多く見られます。
そして、ミナス・ジェイラス州のイタビラ地区とノバエラ地区がブラジルで最高品質のエメラルドを提供しています。
特にノバエラ地区のモンテベロ鉱山とベルモント鉱山は機械化が進んでおり、大粒で優れた品質のエメラルドが採掘されています。
最近では、ピテイラス鉱山も新たに発見され、注目を集めています。一方、イタビラ鉱山は産出量が安定しており、暗めの色合いながらも上質なエメラルドが多く見られます。
ザンビア産
1931年、ザンビアでエメラルドが発見され、コロンビアに次ぐ重要な産地として注目されています。
ザンビア産のエメラルドはペグマタイトとタルク・マグネタイト片岩から産出し、高い透明度と濃い緑色が特徴です。
一方で、コロンビア産に比べると青味がより強いとされています。
ザンビアのカフブ地区はアフリカで最も古いエメラルド鉱区の一つです。
この地域には、小規模な鉱山から世界最大のエメラルド鉱山であるジェムフィールズのカゲム(Kagem)鉱山までさまざまな規模の鉱山が存在します。
カゲム鉱山からの産出量は、世界全体の約20%に達しています。
ロシア産
ロシア産エメラルドは、その透明度と緑の輝き、深い色合いによって、長い間高い評価を受けてきました。
1830年に、ロシアの農民マキシム・ステファノビッチ・コシェフニコフが、シベリアのウラル山脈に近いトコバヤ川のほとりでエメラルドを発見しました。
しかし、16世紀末にはすでに、スペイン人が有名なコロンビア・エメラルドを発見する以前から、ロシアでのエメラルド産出の噂が広まっていました。
実際、大プリニウスが著書『博物誌』でスキタイのエメラルドをウラル産と記述している言い伝えもあります。
19世紀に有名になったロシア産エメラルドの主要産地は、1833年にマリシェボ村の近くで発見されたマリンスキー(聖マリア)鉱山でした。
第一次世界大戦後には国有化され、マリシェボが安全保障地域になると、エメラルドの採掘は一時中止されましたが、現在では再び生産が行われています。
ロシア産エメラルドは、大規模なベリリウム鉱床から採掘されていますが、ファセットカットに適した結晶は採掘された原石のわずか0.5%未満しかありません。
そのため、真のエメラルド愛好家にとっては手に入れたいと願う宝石となっています。
パキスタン産
パキスタンのスワート渓谷では、美しいエメラルドグリーンの石が産出されますが、採れる結晶は小さく、宝石として加工できる品質のものはごくわずかです。
標高の高い地域では、気象条件のためエメラルドの採掘が難しいが、比較的低いスワート峡谷にはグジャール・キリ鉱山とミンゴラ鉱山があります。
ミンゴラ鉱山では古代ローマのイヤリングに使われたエメラルドが見つかり、歴史的にも有名です。
しかし、厳しい天候のため冬季は作業が中断し、手作業による産出量は限られています。
さらに、パキスタン政府は1960年にヒマラヤ山脈で見つかった新しいエメラルド鉱床の採掘を厳しく制限しております。
ジンバブエ産
1956年、ジンバブエでサンダワナ鉱山が発見されました。
サンダワナエメラルドと呼ばれるこの鉱山は、産出量は少ないが、品質の高さから高値で取引されております。
ジンバブエ産のエメラルドの特徴は、小粒で、イエローがかったグリーン色です。
また、研磨する際に色が薄くなることが少ないのも特徴です。ただし、大粒のものは透明度が低い傾向があります。
エジプト産
エジプトは歴史上、最も古いエメラルドの鉱山があったとされ、少なくとも数百年前から採掘が行われていたと記録されています。
古代ローマの賢人大プリニウスの著書『博物誌』にはその証拠が残されています。
エジプトでは古代に作られたエメラルドのジュエリーが今も世界各地の博物館で展示されており、クレオパトラもエメラルドを愛し、直轄の鉱山を管理していました。
彼女の死後、シカイトは「エメラルドの山」として知られるようになりました。
鉱山は約2000年後に再発見され、1817年のフレデリック・カイヨーによるアフリカ遠征でシカイト遺跡が発見されました。紀元前17世紀の採掘道具も同時に発見されました。
現在も遺跡の発掘は進んでおり、2021年には新たなエメラルドに関する発見が相次いで報告されています。
エジプトはまだまだエメラルドの可能性が広がる産地であり、プロの査定人が丁寧に鑑別査定を行っています。
把握したい!エメラルドの高価買取の評価ポイントとは
エメラルドを買取店に持ち込んだとき、鑑定士はどのポイントを評価しているのでしょうか。
買取スタッフは持ち込まれた宝石だけを鑑定しているように見えて、実は「産地」「付属品」といった他の部分も確認しながら査定額を算出しています。
ここではエメラルドの査定をする際、鑑定士が見ているポイントをお話しましょう。
産地
エメラルドの産地は世界に複数ありますが、採掘された場所によって特徴が異なります。
最もクオリティの高いエメラルドが採掘されるのが、南米のコロンビアです。
コロンビアの中でも有名な鉱山が3つあり、そこでしか採掘できない特徴を持つ石が存在しています。
エメラルドの買取査定をする際には、「コロンビア産ならば品質が高い」と判断されるでしょう。
コロンビアのほかにも、ブラジルやザンビアでもエメラルドが採掘されます。
ブラジルはコロンビアには劣るものの良質な石が多く、ザンビアはインクルージョンも少なく、色ムラのない石が採掘されることで知られています。
宝石の状態
エメラルドだけに限らず、宝石は状態によっても価値が大きく変わります。
ダイヤモンドには4C(色・透明度・重さ・研磨)という国際的な基準がありますが、エメラルドの価値を判断するにあたっても、同様の基準が見られます。
美しい発色でインクルージョンが少なく、石のサイズが大きければ価値が高くなります。
さらに割れやかけがなければ、価値が高くなるでしょう。
また、アクセサリーに加工されている場合は、流行のデザインであればさらに買取価格にプラスされるかもしれません。
ただし古いデザインであっても、エメラルドや貴金属としての価値で査定がされるため、大きく価値が下がるようなことはないでしょう。
付属品
エメラルドを購入したときの鑑定書や鑑別書の有無でも、買取価格は変わってきます。
当然、鑑定書があった方がエメラルドの品質が保証されているということになるため、価値が高くなるでしょう。
ただし、プロの鑑定士が在籍している買取店舗ならば、鑑定書がなくても正確な査定が可能です。
また、エメラルドを購入した際に付属していた箱やショッピング袋、ラッピング用品、レシート類もあればすべてそろえて査定を依頼してください。
中古市場ではより新品の状態に近い方が買い手がつきやすいため、これは不要かもしれないと思われるものでも、とりあえず持ち込むことをおすすめします。
知っておきたい!エメラルドの見分け方とは
エメラルドには、天然や合成、イミテーションがあります。
合成とは、天然と同じ成分を用いてつくったエメラルドのことです。
一方で、イミテーションは天然や合成とはまったく違った素材でつくったエメラルドを指します。
そのため、イミテーションの場合は天然のエメラルドと見分けがつきやすいですが、合成は難しくなります。
とはいえ、見分け方を知っていれば判断しやすくなるでしょう。
紫外線を当てる
天然・合成のエメラルドの見分け方には紫外線を当てる方法があります。
仮に、紫外線を当てた際にエメラルドが強い赤色を放った場合は、天然ではない可能性が高くなります。
暗めの赤色や黄緑色、無色の場合は天然の可能性もありますが、一概には言い切れないのでそれだけで判断しないようにしましょう。
インクルージョン(内包物)を確認する
前述したように、エメラルドにはインクルージョンが多く含まれています。
しかし、合成の場合は「きれいに見せること」に重きを置いてつくっているものもあるので、インクルージョンが含まれていないエメラルドは天然でない可能性が高くなります。
傷を確認する
天然のエメラルドは自然にできたものなので、少なからず傷があるものです。
つまり、言い換えると「傷がないもの=合成のエメラルド」ということです。
もし、所有しているエメラルドが天然か確かめたい場合は、傷の有無を確認するとよいでしょう。
エメラルドの買取ならMARUKA(マルカ)がおすすめ
エメラルドは紀元前2000年頃から採掘がおこなわれており、長きにわたって多くの方々に愛され続けています。
しかし、そんな人気のエメラルドだからこそ、市場には天然以外の宝石が出回っています。
購入する際は「天然でなければいけない」というわけではありませんが、天然と同じ価格帯で購入しないためにも注意しなければなりません。
そのため、購入前もしくはすでに所有しているエメラルドが天然か確かめるためにも、見分け方を押さえておくことが大切です。
MARUKA(マルカ)では、エメラルドの買取だけでなく無料査定も実施しています。
もし、手持ちのエメラルドが天然か合成か確かめたい場合は、お気軽にご相談ください。
また、天然のエメラルドで「手放したい」という場合はそのまま買取もいたしますので、どうぞこの機会にMARUKA(マルカ)を利用してみてはいかがでしょうか。
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